homeA.gif (5011 バイト)   

執筆者:鈴木貴子先生 Takako Suzuki, Ph.D. (PA/NY Licensed psychologist)

過去18年間サイコロジスト(心理学者)として米国、フィラデルフィア郊外とニューヨーク郊外のスカースデールで、日本人を始めアメリカ人の子供から大人までのこころのケアに従事してきました。臨床面での専門は、認知行動療法による、恐怖症、パニック障害、強迫観念症、トラウマなどを含む、不安を伴う問題一般、気持ちが落ち込むなどの気分障害の治療です。そして一般的にはストレスマネジメント、 子育てに関する諸問題、そして海外に住まれる方のそれぞれの立場における異文化適応に起る諸問題、そして日本に帰国した際の逆適応、職場、学校、家庭内(国際結婚を含む) に於いて起るさまざまな人間関係から起る諸問題、など幅広い領域で皆さんの悩みにお応えします。

 

子どもから大人までの異文化への適応/不適応

鈴木貴子Ph.D. (PA/NY Licensed psychologist)

■はじめに 

現代はグローバル化が進み、日本人もどんどん海外に出て行き、いまや90万人以上が異文化で暮らしています。独身、夫婦、家族としてなどとその形態はさまざまであり、またその理由も会社からの派遣、留学、国際結婚などですが、短期、長期そして、永住にかかわらずその目的を達成するには、異文化にどのように適応していくかにかかっているというチャレンジは皆同じです。

今回から3回にわたり、「幼児から思春期までの子ども」、「成人」、そして「国際結婚をしている方々」の3分野における、それぞれに特有な発達課題において、母国を離れて暮らすことによるストレスがどのように表れるか、そしてどのように対処していけるのかということを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
今回は、その第一回目として幼児から思春期の年頃の子どもたち焦点を当て、その異文化適応ストレス、理由、親としてどのように助けてあげられるかを、検討してみましょう。

 

第一章 幼児期から思春期前の子どもの異文化適応


■言語や自我の発達段階から見た子ども時代:

子どもの(大人もですが)異文化への適応において重要な点は、その子の性格(主に社会性)と言語の習得の状況に大きく作用されます。幼児期において大体3歳くらいから、言葉がうまく操れるようになり、4−5歳ごろには会話ができるようになります。ですから、この時期から思春期までの期間は、一般に言語習得に柔軟な年頃とされ、第二言語を同時に習得でき易い時期です。しかしながら、概念語が出てくる4年生あたりになる頃から、言語の複雑さが増すためにその言語の基礎ができていない場合、年がますにつれてだんだん習得しにくくなります。

また、自我の芽生えも言葉を話し出す15ヶ月くらいと共に発達し、3歳ごろが第一次反抗期となり、就学前の5歳ごろはより自分の主張が強くなります。皮膚や髪の毛の色や顔かたちが違うことなども認識でき、他の人と自分は別個のものであるという認識が、より明確になってきています。言語の発達が進んできているとは言え、まだまだ的確に自分の言いたいこと、感情表現はできないことと、自己中心的な自我の発達の段階なので、思い道理にならないと、他の子どもからおもちゃを無理に取り上げたり、突き飛ばしたり、噛み付いたりなどの行動に出易いのです。ですから、この時期は子どもたちが、どのように自分の考えや気持ちを動作ではなく、言葉で表現するか、ということを学習する時期であるわけで、保育園や幼稚園の先生、そして親としてそれを支援することが親の課題であるといえます。

もちろんこの過程は、万人に共通している発達段階なのですが、異国に来たばかりで、言葉わからないという場合、言語表現をすることは殆ど不可能に近くなります。もちろんなれない環境に親しむまでにも時間がかかって当然です。しかし、脳は刺激があることによって発達していくので、その言葉を話す、もしくは聞くという環境におかれることで、子どもたちは通常どんどん第二外国語も覚えていきます。


■第二言語習得過程:

第二言語を習得するのに必要条件は、一つにはどれだけ第二言語の環境と接しているか、それと必要性の二つの要素によるといわれています。もし、「家で日本語だけではなし、日本のビデオもしくはサテライト放送を見、日本の本を読み、日本食を食べ、付き合いのある子どもは日本人ばかり、もしくは日本にいる友達とイーメールばかりしている」ということでは、せっかく現地にいてもその環境に接しているとはいえません。

家庭でも現地の言葉を話すようにする必要はありませんが、学校以外でもその現地の言葉に接する機会を増やしたいものです。例えば、現地の友達を家に呼ぶことをすれば、通常その次はその子の家に呼ばれ、現地の生活様式を知るいい機会になるでしょう。その様な機会を作るには、母親が幼稚園や小学校へボランティアとして出かけることにより、他の母親と知り合いになるきっかけがつかめるので、そのときに「一度お茶でも飲みに来ませんか」などと誘うこともひとつの案です。また、近所の人と挨拶をしたりすることも大切なことです。引っ越した後に、両隣や向かいの人たちに挨拶に行き、近所の人と顔見知りになっておくというのは、何か緊急のことがあった場合に、助けをすぐに求められるからです。

このような姿を子どもに見せることで、子どもはもっと現地の言葉に触れる環境におかれるでしょうし、また母親も、言葉が片言でもどんどんその環境に入っていくという姿を観察することから、子どもは勇気づけられるでしょう。

これに加え、言語の発達に欠かせないものとして、その文化を知るということがあげられます。つまりバイリンガルになるには、バイカルチャルであることが望ましいわけです。ですから、子供向けのテレビ番組を、一緒に辞書を引きながら見たり、日本語でも現地版でもいいですが、ニュースや新聞を見てその国の社会情勢や、地域で起こっていることなどの知識をえたり、スポーツや音楽、地域の祭日や、お祭りなどに出かけて見るのもいいでしょう。家でその地方の食事を作ったり、レストランなどに出かけて食文化も体験することも楽しいでしょう。

「私はとてもその様なことはできそうもない」、と思われるお母さん、お父さんもいらっしゃるでしょうが、子どもと一緒に成長していくいい機会ではないでしょうか?このようにしていくと地域とのつながり、友達もできそれが異文化に適応するためのひとつの重要な役割を果たします。いくら家族や友達が日本にいても、緊急の場合には頼りにはできません。

■学校との連携:

もうひとつ大切なことは、学校への適応を促すには、先生の協力なしではできないということです。特にアメリカは、「言わなくてもわかっているだろう」という気持ちでは、何もおこらないと考えてもいいでしょう。「こんな野暮なことを言わなくては、理解できないのか」と言うくらいに、何でも言語化しなければ確実に意思の疎通ができたとは、わからないのです。

このような経験談があります。アメリカに家族で駐在し始め、2−3ヶ月たった頃に、小学校1年生の子どもの先生から学校に呼び出され、「A 君は、落ち着きがなく、協調性がないので、授業中でも何も言わずに勝手にトイレに行ったり、列を離れてどこかにいこうとしたりして困る。」と注意を受けたけれども、A君はその様に先生の言うことを聞かないというような子どもではないので、A君に理由を聞いたところ、「トイレに行きたかったけど、何て言ってよいかわからなくてがまんしていたけど、我慢し切れなくてトイレに駆け込んだ」と言う答えが返って来ました。この夫婦は、「先生はAが英語を話せないのは知っているのだから、何でわかってくれないのだろう」と困惑しました。また、そんなことを先生に言えるはずもないので、どうしていいかわからなかったということでした。

前からいた日本人に相談してみたところ、子どもの状態をはっきり先生に言わなければだめだと言われ、率直に理由を話したところ、先生は、「英語がそこまで話せないとは思わなかった」と認め、「これから、A君とのコミュニケーションを見直し、どのようにしたらいいか検討する」といってくれたそうです。

子どもが学校に馴染み、安心できる場所として親元を離れて毎日通えるようにするには、常に学校と連絡を取り、先生方が子どもを理解してくれるように、支援することが必要です。その様なことから、両親に見守られていると感ずることで、安心して、家を離れられるのです。

そのために両親ができることの例として、学校に通いはじめる前に、学校訪問をして、先生がたと顔合わせをし、教室を始めトイレや図書室、カフェテリアなどの場所を把握する機会を作ってあげましょう。そして必要不可欠なコミュニケーション(簡単な自己紹介、トイレに行きたい、〜が痛いなど)を予め練習していくこと。必要であれば、その様なことを書いたカードを持たせ、はじめはそれを使用し、徐々に自分で言えるようにもって行くなどが考えられます。

海外子女財団で発行されている、「海外子女教育手帳」 、「項目に沿って書き込んでいく形式の日英両言語による1冊の「自己紹介ファイル」です。英語圏の現地校や国際学校の先生が、お子さんを理解する手助けとなります。また、帰国後、日本国内の学校への編・入学時にも、お子さんの海外での学校生活を紹介する場合などに活用することができます。」

(海外子女財団ウエブサイトから抜粋、http://www.joes.or.jp/publish.htm#techo)

などを使用するのはとてもいい考えですが、もしそうでなくても案としては、入学時に家族構成、子どもの性格や健康状態、得意・不得意な科目、好きな食べ物、アクティビティ、特に先生に知っていてもらいたいことなどを書いてあげると、先生方にとってもありがたいものです。そして、クラスの中には大概世話ずきの子どもや、気の合う子どもがいるので、学校にいる間に助けてくれる友達を、先生に選んでもらってもいいでしょう。先生が自主的にその様な配慮をしてくれることもあるでしょうが、もし無い場合はリクエストをしてみましょう。その様な段取りになったら、その子の親に連絡を取りそれなりの挨拶をするフォローをしましょう。

そのほかには、連絡帳をつくり、最初のうちは毎日、それからは状況により段々日を空けたり、柔軟にペースをとりながら、先生とのコミュニケーションをとる手段を確保しておくと安心です。アメリカの学校では通常、ガイダンスカウンセラー、スクールカウンセラーなどがいますので、もし担任の先生とうまくいかない場合は、カウンセラーの所に行って相談すると良いでしょう。

連絡帳は、中学校になると科目によって教室を移動しなければならないので、難しくなりますが、ホームルーム(アドバイザリー)などの名前で、朝一番に集まるクラスの先生は、全体的に生徒を把握する役割があるので、その先生に頼むといいでしょう。先に、学校内にどこに何があるかを把握することは大切であると書きましたが、特に中学校以上は、科目によって短時間で教室を移動するので、現地の子どもたちでも、クラスの移動は慣れるまでは、授業に必要な用具や宿題をロッカーから持ってくるのを忘れたり、時間が無かったりして、うまくいかないことが多いので、その練習をすることは必要不可欠であるといっても過言ではないでしょう。

中学校に入ると、今まで暖かく見守られてきた小学校とまったく違った雰囲気になるので、日本人の子は特に戸惑うでしょう。というのも、日本ではアメリカに比べ、自立と言う過程は、ゆっくりとしたペースで行われるので中学校は先生の庇護の下で行われますが、アメリカはその期待はもっと早く異なった形でおこなわれるので、戸惑いがあって当然でしょう。ですから、この時期は本当に重要な時期ですから、今まで以上に学校と連絡を取り合って、見守ることが必要となります。

子どもの性格と異文化適応:

しかし、ここで「日本人の友達の方がいい」とか、「日本に帰りたい」とか言って、なかなか言葉を話そうとしない、日本人以外の友達はつくらない、とかの問題が続くときは、その子の性格が影響していると思われます。

例えば、日本にいたときからシャイで、まず回りの状況を観察してから、そして大体の状況がつかめたら行動を起こす傾向のある子は、環境が変わるとその適応に時間がかかります。慎重で確実であることが納得できるまでは行動を起こさないということなので、実際に第二言語を話し出すのは時間がかかるでしょう。しかし、往々にして聞くことのほうが話すことよりも早く習得するので、話さないからといって、周りで起こっていることがわからないというわけではありません。

そして反対に、あまり行動を起こす前に考えなくてとにかくやってみるというタイプの子もいます。このような子どもは、体験することから学ぶので、環境の変化による新しい状況に物怖じすることなく、あまり間違いを犯すことに抵抗がないので、外国語の習得にもあまり時間がかからないでしょう。

違った見方をしてみると、シャイな子どもは、新しい環境を「得体のしれないものだから、不安になる、だから慎重になる。」に比べ、積極的な子どもは、新しい環境を「刺激のあるエキサイティングなことみたいだから、やってみよう。」というとり方をするので、行動もそれなりに変わってくるのです。

その子の性格に合った学習のしかた、適応の仕方があるので、それを見極めてペースを汲み取りながら、あせらず見守ることが必要です。

異文化適応を考えた場合、子どもの年齢、性格、そして両親の性格・取り組み方が大きく作用するのは明らかですが、それに加え、移住するまでの時間(突発性)と、二つの文化・慣習の相違の程度にも大きく左右されます。

異文化に移住するまでの状況と文化の違いと適応:

子どもは習慣となったパターンを繰り返すことで安心感を得ます。小学校に上がる前までは、特にその傾向が強いものです。ですから、移住先の文化・慣習がどれだけ慣れ親しんできた日本もしくは、以前住んでいた国のそれと違うかということを考慮することは、とても大切なことです。そしてその違いが大きければ、大きいほど、その適応にはエネルギーを要します。また、移住すると言うことが決まってから、実際に移り住む期間が突発的であるか、ある程度心の準備や物理的な準備ができうる期間あったかにより、子どもの反応は異なります。

子どもの (個人の) 成長過程は同様ではなく、いろいろなバリエーションがあります。その子の性格、ペースそして置かれている環境などにより、成長の仕方が異なります。ですから、子どもの適応がうまくいっていないからといって、両親 (特にお母さん) が至らないというわけではなく、いろいろな自分たちのコントロールできない要素が含まれているのですから、ご自分を責めることで、自爆してしまっては元も子もありません。

今回は、このようにして親の役割、できることをあげましたが、一番大切なことは、お父さんとお母さんが一致団結して、同じ目的に向かって同じ方法でお互いを支えあいながら、家族一体となって一緒に困難を切り抜けていくことが大切なことです。そして、「大丈夫、何とかなるさ」というような、おおらかに構える姿勢を保ちたいものです。そのためには、前例を把握したり、地域での横のつながりを築き上げることが大切です。子どもに何らかの障害があるときは、当然学校からの協力なしではことは始まりません。その場合、普通クラス内にとどまるか、公立の場合学校内もしくは学区内のスペシャルエデュケーションのクラスに入る場合があります。このような場合は特にこの紙面上では、言及しかねる領域ですが、私の臨床経験によると、アメリカの公立学校に入っている場合のケアは、日本に比べて優れた方法で支援されているので、かえって帰国の際にその受け入れ先が無いことのほうが、問題となるケースが多いと思われます。

第二章 思春期の子どもの遭遇する適応問題

■非常に複雑な思春期の葛藤

思春期の子どもが遭遇する問題は、小学校の子どもとは比べ物にならないほど、複雑です。思春期は、人間の一生のうちできわめて変化の激しい時期です。ホルモンの作用により、男の子は「男らしい」、女の子は「女の子らしい」体つきになるのが、メインイベントです。自分の体内から否応なしに変化していく過程は、「自分というもの」を意識させられ、未知へのものに感ずる不安がよりいっそう募ります。

この過程の心の変化の重要なものは、第二次反抗期として現れる、親離れをめぐる葛藤、同年代の友達とのつながり、その輪の中にどのように入るか、そして異性への関心の高まりが、自意識を過剰にさせます。「親の直接庇護から離れて、自分自身の心身のアンバランスに対応しながら、自分の居場所を学校内や、友人関係に見出す時期である」わけです。

異文化においての自分は、否応なしに他の子どもと違うということを、いろいろな側面から思い知らされるわけですから、その葛藤は言わずもがなでしょう。ですから、それまでに築かれてきた自分のイメージにより、もし劣等感や卑下する気持ちがある場合、容赦なく他者と交わらなければならない学校場面に、いたたまれなくなるのも当然です。日本語補習校に通っている子どもたちが、週に一度日本語環境におかれることで水を得た魚のように、オアシスとして感ぜられる気持ちも納得できます。

一般に、中学校の時はとにかく同年代集団に同化することで、安心感を覚え、高校になると徐々に、「個性」(必ずしも他と同じではない、個人のユニーク性) を認められるようになってくるといわれます。しかし、前述したように子どもの成長過程は、それぞれ異なり、まして異文化適応という大きなチャレンジを背負っているわけですから、このような思春期における子どもの葛藤は、高校に入ってからより、深刻になる傾向にあると思われます。

この時期に現れる不適応を起こしている子どもの症状としては、女子に多く見られる、摂食障害(まったく食物を受け入れない、過食と嘔吐を繰り返す)、睡眠に関する問題(寝られない、寝すぎる)、友達との交流が無い、学校の成績が下がる、頭痛や胃痛などの身体障害を訴える頻度が増す、イラつく、怒り易く家庭内で喧嘩が絶えない、時には暴力的になる、などがあげられますが、根本問題は、アイデンティティー形成のアンバランスからくる、不安と気分の落ち込み(うつ)であることが多いように思われます。

女子に良く見られる傾向としては、自分の体型が醜く思われ、食べ物を制限し、十分な栄養が取れないのでホルモンのバランスが崩れ、初潮の訪れが16、17歳くらいになっても来ない、または止まってしまうなどの問題から、体重が生命を維持するために必要最低限をきり、入院治療を強いられる、またはリストカットなど自分を傷つける行動や、自殺をほのめかすなどから大騒ぎになるということがあります。男子の問題は、女子に比べ、表面化しにくいものですが、一般には孤立化する傾向になるようです。

このような子どもたちの心の中の葛藤は、「自分とは一体何か?、自分は何のために生まれてきたのか?生きている意味は何なのか?」といった、実存的な疑問に取り付かれ、答えの出ない迷路に迷い込んでいるため、一応自分の思いのままになる食べること、体を傷つけることで心の痛みを表面化したり、他の人と話さなくなるなどの方法をとることで、必死に藁をもつかむ思いでコントロール感を得ようとしている、と見ることができるでしょう。もちろん、このような場合は、学校そして専門家の助けが必要不可欠ですが、多くの子どもたちは、程度は違っても同様の悩みを抱えているわけです。

■親はどうしたらいいか?

親としては、思春期は自分も通ってきた道のりなので、わかっているようにも思えるでしょうが、わが子の育ってきた時代背景の相違や、異文化で生活していることからくる現地での教育姿勢や価値観、システムの相違などの要素が加わることでわが子を理解することは余計困難となり、そのチャレンジ度は大きく飛躍します。

現地の親が同様の問題で相談に来られるときにアドバイスをすることの一つとして、市販されている本や、インターネット、他の親との情報の交換などをとうして、思春期の子どもの経験する問題を理解し、効果的に対処するにはどうしたらよいかなどの知識と情報を得ることを薦めます。そして、気になる行動の変化を「問題」としてではなく、子どもが発している「SOS:警告」であると捕らえることにより、子どもの将来の不安や親としての罪悪感などの感情移入をすることを押さえ、より冷静に効果的に子どもの支援をする方向にもっていけるでしょう。子

育ての上での困難は、親として当面して当たり前という気持ちで、その様な状況になったことで、子どもの抱えている悩みを解決する助けができる良い機会である、というように捉えることから、前向きな姿勢が養われるでしょう。そして、必ず何らかの解決方法が見つけられる、その暁には子どもと一緒に成長するのだと思えるようになりたいものです。

どのように親としてのこのような心理的葛藤に対処していくかは、親と言えども成人した個人である、ということからの見地から検討することが必要とおもわれるので、次回に持ち越したいと思います。

永住の子どもたち

いつかは日本に帰ることが決まっている一時滞在の場合と比べ、永住の子どもにはそのユニークなチャレンジがあります。その場合も、両親が日本人の場合と片親が外国人と言う場合により、その問題も微妙に異なります。両親が日本人の場合、家庭は日本語環境なので日本語や日本文化への関連は維持できることが多いのですが、それは両親の異文化への適応度、地域に日本人が多く住んでいるかどうかなどの住む環境にでも違ってきます。適応がうまくいっている家庭は、日本と異文化の融合のバランスが保てている場合、反対にうまく行っていない家庭は、どちらかに偏りすぎている場合です。この融合のバランスは、一概にどのようにしたら良いかと言うアドバイスはしかねますが、基本的には両親が良く話し合い同様の基本姿勢を持ってあたることでしょう。

国際結婚の場合、通常どちらかの親の文化圏で住むことになるので、そうでない親が、日本文化をどのようにどの程度伝えていくかを明瞭にする必要があります。また、両親がそれぞれ異なった文化背景で育ち、双方にとっても異文化の土地で暮らす場合、子どもたちは、3つの文化の影響を受けて育つことになります。この分野は第三回目のトピックとして取り上げるので、詳細は後に回したいと思いますが、これらの3つのどの状況にしても、永住の子どもたちにとっては、文化的アイデンティティーの形成が一番の問題の焦点となるでしょう。

もちろん個人差はありますが、このように子どもが経験するチャレンジ度が多ければ多いほど、その成長過程において時には、その成長度に時間がかかり遅れが見られる場合も多いことは確かでしょう。例えば、言語の習得にしても、同時に2ヶ国語を習得するにしても、途中から学ぶにしても、言語の習得に遅れが見られることは多いですが、長い目で見るいつの間にか追いついているケースが多いものです。

ですからここで気をつけなければならないことは、親がいつも心配している目で見ていると、これで良かれと思ったことも子どもも心配するようになるので、どのように親の心配を自分たちの中で処理しながら、子どもの成長を見つめるが、親に貸された課題でもあり、また子どもの成長を促進するためにできることです。そのためには、この記事をとうして強調しているように、同様の環境におかれている家族との横の連絡、もしその様な家族が身近にいない場合は、インターネットなどで情報をえるなどして、心のサポートを得ることは必要不可欠なことです。

子どものアイデンティティーの形成において、永住組のこどもは、ひとつ以上の文化的背景を自分のイメージに取り組んでいくわけですが、やはり育っている環境から来るインプットが一番強いのですが、両親の文化的背景に興味を持ち、それを取り入れだすのは、早くて高校に入ってから、そして通常は高校を卒業して、彼らの生活環境が拡大するようになってからです。ですから、それまでは子どもが置かれている文化的環境のみに興味があったとしても、これも長い目で見るようにすれば、それに伴う親のストレスも還元されるでしょう。

鈴木貴子、Ph.D.

 

 

第三章 成人の異文化適応

前回は児童から思春期までの子どもたちの異文化適応について、いろいろと検討しましたが、今回は大学生を含む成人の異文化適応について、考えてみたいと思います。

■大学生の場合:

この年齢層において適応に大きな影響を及ぼす要因のひとつに、どのような状況で海外に出るようになったのかということがあげられます。それは大きく分けて自分の意思で来たのか、そうではないかに分けられます。大学生の場合、自分の意思で来た人が大半でしょうが、厳密に言うとそうでない場合もあります。後者の場合は、日本の大学に入れなかったので海外の大学にるべく、例えばアメリカの場合はEnglish as Second Language(ESL) の学校に来て言語を習得し、そしてその後もとどまる人もいれば、多くの人は日本に帰ることが多いようです。この場合一年以下の短期で帰国する予定ならば、通常異文化適応には問題はあまり起こらないでしょう。

大学生の間で起こる適応問題において簡単に触れておくと、異文化適応に問題の起こる学生は、「はっきりとした目的を持って勉強しているかどうか、日本にいる頃からの性格、社会性、その国の学生との交流度」などが上げられます。異国の地に行っても、日本人ばかりと交わっている学生は、その国の言葉に慣れないばかりでなく、自国との執着が大きいために異文化適応に必要な情報が得られなくなるので、異文化適応の際には不利です。先のセクションでも書いたように、外国語を身につけるには、その文化を知ることが必要になるので、日本人の学生といつも過ごし、日本のテレビ番組やビデオをみて、日本食を食べているとしたら、何のために親が高額の費用を払って海外にまで出てしているのかわかりません。

また、ヨーロッパのシステムはわかりませんが、アメリカと日本の大学では、その勉強の仕方、学生に期待することに大きな違いがあります。多分皆さんもご存知のように、アメリカの大学では入学は日本に比べて比較的簡単ですが、入ってから勉強をしないと容赦なく落とされますが、日本の場合は入ってしまえば適当にやっていれば卒業できます。この期待の差が、大きな落とし穴となることも往々にしてあります。第二外国語で勉強することは、現地の学生よりも数倍の時間と努力が必要です。

ですから、アメリカで大学を卒業するには、学生の意識の高さ、勉強の目的の明確さ、精神的自立と自己管理ができること、が重要になってきます。もちろんこのように日本からの生活を引きずっていられるのは、大都市に住んでいるために、日本のものがたやすく手に入るための弊害ともいえましょう。ですから、読者の中で子どもを海外の大学に行かせようと思っている方は、現地の家族の家でのホームステイ、もしくは寮に入るとしても、ホストファミリーの制度があり、何か問題がおきたときや、祭日など一緒に過ごせる制度がある学校を選ぶことをお勧めします。

また学生の中には、企業派遣できている人たちもいます。その様な人たちは、配偶者や子どもがいる人も多くいます。その様な方々のストレスは、どちらかというと駐在の家庭と似ている部分が多いのではないかと思われます。

駐在・企業派遣留学の場合:妻のストレス

大体の場合はご主人の仕事の関係できている方が多いと思われますので、その様な方々の、ストレスを例に挙げて検討してみましょう。

大きく分けて、夫は仕事や勉強で忙しいので、家族のことを構ってあげられないため、家族が不適応を起こしている場合と、夫が海外の生活に不適応を起こしている場合との二つが考えられます。ここで言う家族は、子どもがいない場合と子どもがいる場合があげられます。まず、子どもがいなくて奥さんだけの場合、もし奥さんが外交的な人であり、外にでるにも物怖じしない性格である場合は、問題があまり無いと思われますが、その反対に引っ込み思案である場合には、異文化に適応するのに問題となるでしょう。その場合夫と違い、どうしても外にでる必要がないと、どうしても外にでるのが億劫になり、現地の様子に慣れるには時間がかかります。そのために夫への依存が多くなり、夫婦関係にも支障がきたすことも往々にあります。

もし乳幼児や子どもがいる場合、近くにサポートをしてくれる人がいない場合、育児ノイローゼを始め、孤独感が増しホームシックになり、余計海外にいることがつらくなるということもあります。そして彼女たちは、夫の仕事や勉強のために、海外に出たわけですから、必ずしも自分が来たかったということとはかぎらないでしょう。もし本当は来たくなかったのだけれども、夫のために良かれと思い同行したという場合、妻が内向的で、乳幼児を抱えていると言うような状況は、よけいに異文化への適応は難しくなるでしょう。

では、このような危機をどのように切り抜けるかということですが、まず一番に大切なのは、「夫の仕事の関係できたけれども、自分もそれに賛成して来たのだからできるだけのことをする」という心構えを新たにし、自分の決断したことに責任を持つことです。気持ちが落ち込んだり、切羽詰ったりするとどうしても誰かを恨む、つまり「もし夫が派遣にならなかったら、こんな思いをしなかったのに」というように、誰かを責めるようなことを考えがちですが、それをしていては、当面している問題に対処できません。「自分は変えられるけれども、他人は変えられない」のですから。そして、言葉がうまく話せない場合はまず、地域に日本人会のようなものはあるか、子どもの学校に日本人がいるかなどを調べ、そこからサポートを得ながら、子どものプレイグループや学校の先生、近所の人たちなどと、関わるようにしてネットワーク作りをすることも大切でしょう。そしてその様に現地の人と交わりあうことで、言語の練習にもなります。外人なのですから、その国の言葉ができなくて当たり前なので、その言語を話せないことは恥ずかしいことではありません。しかし、現地にいてその努力をしないことのほうが、もっと恥ずかしいことではないでしょうか。

このような状況における妻のストレスの一つの要因として、夫や子どもの面倒を見るばかりで、「誰も自分のことを気にかけてくれない」と言うように、「尽くすだけで、何の見返りも無いのでガス切れ状態で、疲れてしまっている」事も多いでしょう。その様な場合夫ができることは、「話し相手になってあげること、休みの日には家の外に連れ出して、景色を変える事で気分転換を図る、育児に協力する (例えば、ショッピングに一人で行けるように、ベビーシッターを引き受ける)」 など工夫して、妻をいたわってあげてください。

もちろん夫婦揃って出かけることも効果がありますし、円満な夫婦関係を保つ秘訣です。その際問題となるのは、ベビーシッターです。もちろん、なれない土地で見知らぬ外国人に子どもを預けて出かけるのは、抵抗があるでしょう。来てすぐは無理ですが、その為にも子守ネットワークを作るべく、近所の人や子どもの学校の友達の親と交流を持ち、気の合う友達の親にベビーシッターは誰を頼むのかなどを聞いて、紹介してもらったり、友達の親が出かけるときは、その子を家で遊ばせ、そして自分たちが出かけるときは、その友達の家で遊ばせてもらう、というように、お互いに助け合うのも良いでしょう。どの方法をとるにしても、やはり母親が積極的に、「子どもと一緒に成長する機会である、折角海外に来たのだから満喫して帰ろう」などと、思考のポジティブな変換を図って思い切ってやってみることでしょう。

よく聞くことですが、「誰かを家に呼ぶ」というと日本人は「客に不愉快な思いをさせたくない」ということから、とても緊張して大げさに考えがちのように思えます。その為、ついお茶に誘うにもためらいがちです。これもヨーロッパや、アジア圏、中東、アフリカ、ロシアなどの地域は、はっきりしたことはいえませんが、アメリカはインフォーマルの国ですから、日本人が考えるほど「おもてなし」をしなくても良いので、気楽な気持ちで考えても良いと思います。そして「こんなものを出したら、口に合わないかしら」などと考えがちですが、たとえそうだとしても、それをきっかけに現地の人に日本の食べ物や文化を知ってもらうきっかけとなるわけですし、そして逆にその様なことから相手もいろいろと話し出したりして、「現地の慣習や文化を教えてもらえる」という文化交流の、相互利益となるし、また現地の言葉に触れることでその練習にもなるし、また子どもにもいい影響が与えられるので、一石二鳥ならず、一石三鳥といったところでしょうか。

ここで一つ特別なケースですが、ありうることなので記しておきたいことがあります。出産後、マタニティーブルーと呼ばれる産後3−7日くらいの期間が過ぎても、気持ちがとても落ち込み育児に支障がきたすような、心理的障害を起こすことがあります。これは、産後の気分エピソード(例:産後の大うつ病:Postpartum Depression)と言われますが、特に子供を生んですぐに海外に出たり、もしくは海外で出産した方はそのストレスも作用して症状が現れることもあるので、ことを念頭に入れておくこともいいかと思われます。発症率は、0.1~0.2%くらいですので、めったにある病気ではありませんが、もし産後一週間しても気分があまり晴れない、赤ちゃんのことをかわいいと思えない、妄想的症状があるなどの症状がある場合、特に以前うつになった経験がある場合は、産婦人科やメンタルヘルスプロフェッショナルに相談すると良いでしょう。何も無かったらそれに越したことはないので、早めに来診するとよいでしょう。

注:「ストレス」の定義は、環境や状況の変化があるときは、その良し悪しに係わらず心身に影響するということです。

■駐在・企業派遣留学の場合:夫の場合

しかし、時には自分で来たくて来た本人が適応に苦しむことも当然あります。例えば、仕事はこなさなければいけないし、異文化の適応の困難さから、疲れ果てて、家族と一緒にいるときも、仕事のことを考えたり、集中できずボーとしていたりすると、「ほらお父さんは、何もきいていないんだから」などと言われてつらいところです。現在の日本の経済は低迷状態なので、人員が十分ではなく、そして日本と常に連絡を取らなければいけない職場は、アメリカの場合、夜や日曜に仕事をしなければならないので、家族とのサイクルも合わず、家族から「お父さんのために海外に来たのに、ちっとも一緒にいられなくて、何のためにここにいるのかわからない」などと愚痴をこぼされることもあるでしょう。

そして周りを見れば、欧米の場合父親が比較的早く帰ってきて、子どもと遊んだり、家のことを手伝ったりしている姿を見れば、家族としては余計不満が募るのでしょう。

「こんなはずではなかった」と思っても、うまくいかず、かと言って自分で選んだ道なので、弱音をはくようでその様な気持ちを誰に相談するわけにもいかず、誰を責めるわけにもいかず、多分袋小路にはまって出口を見失ってしまっているような気持ちであるのでしょう。このように、やはり孤立してしまっているケースが多いようです。男性は女性に比べて、自分の気持ちを言語化してストレスをプロセスするということは、あまりしないので「つらい」気持ちはどんどんたまっていくばかりで、たいていの場合、疲労感、睡眠や食欲に変化がでる、肩こり、頭痛、胃痛、時には脱毛など身体症状として出る傾向があります。

奥さんの適応がうまくいっていて気持ちが安定しており、また夫婦関係が潤滑にいっている場合は、奥さんが話を聞いてあげてそして励ますこともできるので、何とか困難を乗り越えて目的を達成できるでしょう。しかし、夫婦関係がうまくいっていなかったり、妻の精神状態も不安定であったり、子どもの問題を抱えている場合などは、それなりの時間と体力、そしてサポートシステムが必要です。

家族が問題を抱えていればいるほど、海外に出ることになったのは自分の責任でなので、家族が問題を抱えているのは自分のせいであるというように、自責の念にかられ、罪悪感を感じより頑張ろうとするのだけれども、本人にも燃料補給が必要なのでなかなか思うように、家族をサポートできないことから、自己嫌悪に陥りやすく、悪循環が続いてしまうのでしょう。

よくある例ですが、仕事上の英語は問題が無いのだけれど、同僚との関係に使われるインフォーマルな英語がうまく使えず、また話題についていけないので、ランチに行っても話しが見えず、職場で孤立してしまうことがストレスとなっていることがよくあります。このような場合、現地のニュースや、スポーツ、文化的なものなどの情報を得るために、新聞を読んだり、テレビを見たり、ニュース番組を見たりして社会教育を独学すると、話題についていけるようになり、ランチに一緒に行くのにも苦痛でなく、同僚の輪の中に入りやすくなるので、ストレスも解消される方向に行くでしょう。

駐在で来られた場合、会社によってはEmployee Assistant Program(EAP )といって、社員の抱えている諸問題に対処する機関があり、必要な治療を行えるようなところを紹介してくれたりします。保険でカバーされているので、自費はかからず秘密厳守で治療先を紹介してくれるので、このような機関を応用することを勧めます。その様な機関が無い場合は、同僚や上司で話がし易い人たちにサポートをしてもらうなど、とにかく一人で抱え込まないことが大切です。

また、学生である場合には、大学のカウンセリングセンターに行き、もし日本語の方がよければ日本語の話せるカウンセラーを探してもらい(領事館に連絡して聞くのもよい)、そうでない時でも、片言でもこころの内を話す相手ができるということは、多少の助けにはなるのではないでしょうか。

海外保険をはじめ、保険に入っていればたいていの場合は、メンタルヘルスはカバーされますが、どのくらいの金額や期間カバーされるかは、その保険会社によるので、直接電話して聞くのが一番の早道です。往々にして日本人は、カウンセリングに行くのをためらいがちですが、早期発見をすれば早く治り、異文化適応もよりスムーズに行く可能性が高まるので、よっぽど悪くならないうちに、相談にいくことを進めます。

独身の場合

独身で海外にいられる場合、直接的家族のサポートがないので、その分友達や同僚が遠縁の家族のように頼れるサポートシステムが作れていれば、異文化適応にもあまり問題はでないかと思われますが、そうでない場合、つまり孤立している場合は、そのつらさは何増倍にもなるでしょう。もし、それでも海外にいるということは、日本に帰れない、帰りたくない理由があるのではないかと思いますが、その様な方は、長丁場になるといろいろな心身の弊害がストレスのために現れるようになるので、趣味のグループなどを見つけるなど、人と人とのつながりを持つことに勤めていただきたいものです。人間は社会的動物ですから、一人で生きるようにはできていないのです。

■まとめ:

このように見ていくと、異文化適応において問題のある人は往々にして、日本でも何らかの問題を抱えていた人が多いように思えます。そして大学生や独身の人はそれなりに何の目的を持って海外に出たのかをあきらかにもっている人、社会性のある性格の人は、往々にして異文化に適応しているように思えます。

家族でこられた方は、まず第一に夫婦関係がバランスよく、円滑にいっていることでお互いに助け合えるので、異文化適応における問題があっても、二人でそれを解決していけるので成功している例が多く見られます。子どもがいる場合、もちろんその子の性格や、心身の健康度にもよりますが、これも夫婦がお互いにフォローしあって、子どもの問題に対処できるので、ここでも夫婦関係が大きく影響します。

時には、慣れ親しんだ環境でのお互いの関わり合いかたが、海外で生活していることで見直されることもあります。例えば、欧米に来られた方は、夫婦のありかたの違いに気づかれることが多いと思います。例えば、レイディーズファーストなので、ドアを開けてくれたり、荷物を持ってくれたりすること、また父親が休日など家族とともに過ごすことを大切にしたり、家庭のことを手伝ったり、子どものスポーツや行事に積極的に参加したりなどして、(最近は多少変わってきたかもしれませんが)アジア圏などとは違った家族関係、夫や父親の役割があるのであると、気づくことが多いと思われます。その様な夫や父親像を見ていると、妻や母親としての女性にとっては、新鮮であるとともに、男性はこのようなこともできるのだということから、我が夫に求めるものが違ってくるかもしれません。

異なった環境において生活しているうちに、現地では当然とされることを長く経験していれば、自然とその影響を受け、ものの考えかた見方が違ってくるのはやむをえないことでしょう。そのため、夫婦関係がうまくいかなくなったりするかもしれませんが、このようなときに話し合えるような関係であれば、それなりの解決策を昂じられるでしょうが、そうでない場合は問題化するでしょう。男性にとっては、今まで良しとされていたことが、環境が変わったために違う目で見られるのは如何かと思われますが、所変われば品変わるというように、妻からの期待も変わることもあるのですから、柔軟に臨機応変に対処していただきたいものです。

次回は、国際結婚をされて海外に住んでいる方たちの、異文化適応について考えてみたいと思います。

鈴木貴子、Ph.D