予防接種に用いられる薬液を、ワクチンという。ワクチンには、病原性を減じた病原体そのものを用いる生ワクチン(live vaccine)、死滅した病原体を用いる不治化ワクチン(inactivated vaccine/killed vaccine)、毒素の毒性を失わせて免疫原性のみを残したトキソイド(toxoid)などがある。生ワクチンは液性及び細胞性免疫が誘導され長期にわたり免疫が持続されやすいなどの利点があるが、一方弱毒の程度により本来の疾患の臨床反応が出現したり、強毒株に突然復帰する可能性がある。不活化ワクチンは、接種した抗原には感染性も増殖性もないので疾患本来の臨床反応が現れることがないが、免疫の持続が短いため免疫効果を維持するために複数回あるいは定期的に追加して接種を行わなければならない。 ワクチンには抗原そのもののほかに、製造過程上混入する培養液、培養細胞成分、抗生剤などのほかに、安定剤・防腐剤などの添加物(ゼラチン・ヒト血清アルブミン・チメロサール・ホルマリンなど)、免疫原性を高めるためにアジュバントとして添加されるアルミニウム化合物などが含まれており、局所の硬結や腫脹、まれに生ずるアレルギー反応の原因になったりすることがある。なお最近の我が国のワクチンからは、安定剤としてのゼラチンは除去もしくは改良が行われ、ゼラチンによるアナフィラキシーなどの心配はなくなった。しかしその他の不測のアレルギー反応の出現を極力避けるためには、丁寧な問診、病歴の聴取が常に必要である。
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